救急救命士の現実 パラメディック119~すべては救命のために~

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消防署の風景 No.4

パラメディック119消防署の風景消防官の親父に求められているもの up data 2009.9.30

消防官の親父に求められているもの

 消防署は24時間もの間、同じメンバーで消防署で生活を共にする職場環境にあります。24時間の中では当然、何があっても優先されるのは緊急出場です。逆に出場要請がなければ出場に備えて消防署に待機していなければならない訳です。もちろん事務仕事などもこなしますが、食事や睡眠など24時間の中には仕事に合わせて生活があります。消防官はこの仕事の合間に訓練や体力練成をしています。緊急出場に備えるのも仕事ですので、これも生活であり仕事なのです。

 とは言え消防署によっては忙しすぎて待機中に体力練成などやっていられないところもあります。消防署の仕事は地域を守る地域密着の職業です。繁華街を管内に持っている消防署では深夜がむしろ出場の中心になり、オフィス街では夜は人がすっかりいなくなって出場も少なくなる。この時、私が勤務していた消防署は繁華街などない住宅街、夜は割と静かでいつもだいたい体力練成ができていました。21時頃には事務処理もかたがついて若い消防士を中心に体力練成をやっていました。この頃の私もまだ20代そこそこの消防士、事務処理、雑用を済ませていつものように体力練成のできる部屋に向かいました。

 部屋にはすでに先行小隊の小隊長と機関員が体力練成をしていました。
小隊長「ふぅ~、ふぅ~…」
30分も経ったでしょうか、
小隊長「ふぅ~…ふぅ~…」
隊員「小隊長、今日はまたずいぶんと熱心にやっているんですね」
小隊長「ああ、今度の週末に子供の運動会があるんだよ」
隊員「はぁ…運動会ですか、でも子供の運動会なんてそんなにたいした競技がある訳ではないですよね?」
小隊長「分かってねえなぁ…消防官の親父に子供たちは何を期待しているか分かるか?」
隊員「そうですね…そりゃやっぱり身体を鍛えている仕事だし、体力があるところを見せてほしいってことでしょうか?」
小隊長「まあそうだな、子供たちだけじゃないんだぜ、周りの父兄だってあそこのお父さんは消防官をしているらしいって、そういう目で見ている訳だ」
隊員「なるほど、運動会とは言えやっぱり消防官の親父は勝たないといけない訳ですね」
小隊長「違う!消防官の親父に求められているのはただの勝ちじゃないんだ!」
隊員「はぁ…何ですか?」
小隊長「圧勝だよ!」
隊員「あっしょう…スか…」
小隊長「そうだ、ぶっちぎりで勝たないといけないんだよ、それでこそあそこのお父さんはやっぱりすごい!町の安全を守る消防官はさすがって、そうなるんだ」
隊員「はぁ…なるほど」
小隊長「お前もいずれ結婚して子供ができてもぶっちぎりで圧勝できる体力をつけてなくちゃダメだぞ」
隊員「はい…頑張ります」
小隊長「ふぅ~ふぅ~…」
隊員(まだ続けるんだ…トイレにでも行くふりしてそ~っと切り上げようっと…)

 この小隊長は私より一回りも年上でしたが、身体はムキムキで体力抜群でした。消防官たるものいつも体調を整え体力練成に励むものといつも身体を鍛えていました。翌週…。
隊員「お子さんの運動会どうでした?やっぱり圧勝ですか?」
小隊長「当ったり前だ!今年もぶっちぎりだったぜ!」
隊員「…でしょうねぇ」
小隊長「でも、どこかのお父さんが怪我をしてたよ、張り切りすぎは要注意だよな」
隊員「そうですね、普段からあまり身体を使っていない人が急にやれば、やっぱり怪我をしますね」
小隊長「そうそう、でも学校のトラックなんて走ると、昔の感覚が蘇ってくるんだな、気持ちは先に行くけど下半身がガクガクしているような人がいっぱいいたよ、あれは危ないよな」

 秋に向かって肌寒い季節になってきました。私はまだそんな現場に出場したことはありませんが、子供の運動会で怪我をしたお父さんの下に出場した救急隊の話はちらほら聞くところです。そんなに本気になることはないと思っていながらも、競争となるとついつい本気になってしまいがちなもの。しかも普段運動不足ならなおさら、怪我には要注意です。このサイトをご覧のお父さんもほどほどに頑張るようにしてくださいね。

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